2016-09-06から1日間の記事一覧

5 少し太い山道

二人とも息がつきて一休み。膝に手をあててはあはあやっている。 山の向うに立ち昇る黒い煙。また走り出す二人。

4 小川

先に来た正雄、ひらりと飛び越える。泰助も飛ぶが、岸まで届かず足が流れにつかる。

3 幹木の茂み

枝をかき分け走る二人。 野うさぎが驚いて走り出る。

2 竹林

先を行く泰助が急に立ち止まり、耳を澄す。正雄が泰助に追突しかけたときに、ドーンと墜落音とともに地響き。あわてて駆け出す二人。

1 昭和二十年七月 九州

森の中 杉が生い茂る山の斜面を正雄とその弟、泰助が前後して歩いていく。手に虫取り網、腰に虫籠、背中に布の鞄。夕暮れが近い。正雄の踏んだものをその通りに踏みつけていく泰助。山[ばと]がぽーぽー鳴いている。泰助、立ち止って水筒の水を飲み干す。走…