三人で朝ごはん。浪子が立ったすきに、二人してかばんに食べ物を詰め込む。泰助、お椀に指を突っ込んで、[あちち]です。浪子が急須を持って戻ってきて、
浪子「もうちょっとゆっくり食べなさい。からだに悪いわよ」
とお盆でお茶を二人に差し出す。二人、それぞれ受け取って、
泰助「平気、平気」
正雄「三、九、」
泰助、正雄の方をチラッと見て、
泰助「あ、三、九、」
浪子「それなぁに? 何かのおまじない?」
正雄「うん、そう、ごはんの[こなれ]がよくなるおまじない」
箸をくわえたまま相槌を打つ泰助。
四角の食卓(ちゃぶ台)三辺に浪子をはさんで正雄と泰助。明いている一辺。