27 畑
めずらしく兄弟が働いている。雑草を二人で抜いていく。浪子は鍬【くわ】を使っている。
ごろじいが桶を運んでやってくる。
正雄「ごろじいねぇ、アメリカ語知らんの」
ごろじい「さぁてのぉ、昔はちぃとはわかりよったんじゃが……」
正雄「三、九、て知らん」
ごろじい「三、九、?……おぉ三、九、な。そりやぁ、確か、ありがとう、じゃ」
正雄「(泰助の方を見て)やっぱりな。……なぁ、じい、そう言われたときはどう返事すりゃええの?……ありがとう、言われて黙っとく訳にはいかんやろ」
ごろじい「はての……(桶に大根を入れながら)ん……そうじゃ、そういうときはのぉ、オーケーと言うとぉき」
泰助「まじめに教えてよぉ」
ごろじい「冗談じゃぁないんじゃ。桶じゃないぞ。オーケイというんじゃ」
正雄「ほんとう?」
ごろじい「じいはこれでも昔……」