61 一本道

トラックがぬかるみから出ている。兵隊は荷やタイヤを確かめている。

軍曹「世話かけたな。もちと景気がよけりゃ小遣いでもやるんやが、……まあこれで我慢せいよ」

といも二つを泰助に渡す。そのいもをお手玉しながら、

泰助「この雨じゃあ、また落ちるよ。どっかで休んでいけばいいよ」

軍曹「西はだいぶすいてきとるし、もう止むじゃろう」

徹「この辺は道が川になるからなぁ、少し待つ方がええよ」

軍曹「そうか、じゃが荷台じゃ雨が漏るし、どこぞ屋根のあるとこあるか?」

泰助「あのやぶの向こうに神社があるよ。村の集会所になっとんや。神主さんはおらんけど」(WIPE)