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88 (F・I)兄弟の家

脚本3・9

浪子がいろりばたで縫い物をしている。

開け放した勝手口から孝の母が入ってくる。上がり框【かまち】に腰かけながら

孝の母「やっとおさまったようやねえ」

浪子「ええ、今日のは威嚇やなかったみたいやねえ。……孝【たか】ちゃんもうちの子らと一緒に行ったん?」

孝の母「うん、ごろじいがわざわざ断わりにきて、今晩は虫取りに連れていく言うて」

浪子「すまんねえ、じいが遊びにぎりさそうてしもて、手が足らんようになるやろ」

孝の母「そんなこたぁないけ。それより、泰【たい】ちゃんらが何だかんだと孝を引っぱり出してくれるけん、このごろは見違えるくらい元気になって……」

浪子「孝ちゃん、賢いから、父ちゃんのこともちゃんと分っとるけん。もう大丈夫よ」

孝の母「強うなってくれるとええんやけど」