90 (F・I)海岸
たき火を囲んで八人。良介の隣りに座っている徹が
徹「どして良ちゃん、壕へこなんだん?」
良介、うつむく。
徹「俊ちゃん、どして?」
俊夫、助けを請うように良介を見る。
徹「何【なん】ぞ悪さしよう思うとったんやろ?」
ますますうつむく良介。その頭を指でこづいて、
徹「訳、言うてみぃ」
とさらに追求しようとした徹の口に、横からベンの手が伸びて、チョコレートが差し込まれる。ベン、ひとさし指を口の前で立てて、目で徹を諫める。
泰助、その様子を見ていたが、立ち上がると、
泰助「あの夕焼けや、明日【あした】は絶対晴れるで」
正雄「動くなら暗いうちや。闇夜の烏【からす】や」
と続いて立つ。ベン、徹、孝、二郎、立ち上がって尻の砂をはらう。まだうつむいて座っている良介と俊夫を徹が引き起こす。
砂をかけられて消えるたき火。(F・O)