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91 (F・I)村役【むらやく】の家

兵隊四人、晩めしを出してもらっている。供仕をする村役夫人。少しはなれて座っているのが村役。

村役「町はひどうやられましたなぁ」

兵隊四「よりによって我々が銃座に着いとらんときに来よる。奴らも卑怯なもんよ」

この大見えはちょっと気まずく、一同、黙り込んでしまう。とりつくろって、「一月ほど前……■■に落ちて■■わしが……」箸を動かす音。

村役「隊へはいつお帰りで?

兵隊四「軍曹らが戻られたけん、任務遂行状況は伝っとるはずじゃ。今晩はええじゃろ、……なあ」

兵隊一「うん、朝明るうなったらすぐ戻る」

他の二人も食べながらうなずく。

兵隊一、箸を置いて、

兵隊一「ところで村役【むらやく】、ジロウという坊主がこの辺におらんか?背がこのくらいで(と示して)坊主頭で」

村役「二郎といやあ寺坂さんとこの二男坊ぐらいしかおらんですが、なあ(と夫人に同意を求めて)……それがなんぞ?」

兵隊一、兵隊三と兵隊四の顔色をうかがいながら、

兵隊一「どんな坊主だ」

村役夫人「そらあ、このあたりじゃ一番おとなしうて……寄り合いなんかについてきても隅っこの方でじっとしとる子じゃから」

兵隊一「そらちょっと話が合わんのお」

と兵隊二に向って話す。

兵隊四「どうしたんじゃ、その坊主が?」

兵隊一と兵隊二、顔で話してから、

兵隊一「さっきは伍長殿の手前、言わなんだがな、……実はのぉ」