110 飛行場――門の前の小屋のかげ
正雄とベン、そして良介と俊夫が休んでいる。二郎の膝で仔犬が寝ている。そこへ徹と泰助と孝が身を低くして戻ってくる。
泰助「だめや、兄ちゃん、見張りが回りを取り囲んどる」
良介「おかしいなあ、普段は誰もおらんのに」
孝「何【なん】ぞ気付いたんかも知れん。こまったなあ」
正雄「まあ、あせっても仕様がないけ。これでも食うて様子を見よや……あとちょうど一枚ずつや、ほい、ほい……」
と一枚ずつチョコレートを配る。いろいろな食べ方をされるチョコレート。食べながらも子供達、飛行場の方から目を離さない。
子供達、さっと小屋のかげに入る。門のところに人影二つ。