84 町――焼けこげた家々
すっかり暗くなっている。あちこちでまだくすぶっている。消火の■■■■■■■ができている。泰助と孝と二郎と正雄、路地のところまでやって来る。真っ黒に焦げた荷と荷車。一同、一瞬、立ちすくむが、泰助は燃えかすを引っかき回し始める。徹は壕から壕へと良介と俊夫を探し回っている。
泰助「ほら、箱がない。鉄の機械が燃えてしもたりせんもんな」
とポケットをかき回してさきほどの紙切れを取り出す。まだ燃えている火のあかりでそれを見る。孝がそれをのぞきこんで、
孝「海、へ逃げるてことやね」
泰助「うん、たぶんそうや」
まだくすぶっている家々。